ここでは、労働基準法に基づいた解雇の規定や、タクシー会社の不当解雇にあたるケース、不当解雇の相談窓口などの基礎知識をまとめています。
タクシー会社から急に解雇を言い渡されたドライバー。または、社内で「売り上げが厳しい」「再編が必要かもしれない」という話が出ており、解雇されるかもしれないと不安になっているドライバーは、参考にしてみてください。
解雇するには客観的かつ合理的な理由が必要と労働基準法で定められています。そのため、基本的に会社都合の一方的な理由で解雇されることはありません。
ただし、勤務態度に重大な問題があったり、経営上のやむを得ない事情などがあったりする場合は、解雇が認められることも。その場合、タクシー会社は少なくとも解雇日の30日前までに解雇予告をする必要があります。
解雇理由が正当なものと認められ、解雇予告の代わりに30日分以上の平均賃金を払う場合は、即時解雇されるケースもあるため、注意が必要です。
また、解雇日から30日以内に解雇予告をした場合は、何日前に解雇予告したかによって、支払われる賃金が変わってきます。例えば、解雇日の15日前に解雇予告をした場合、タクシー会社は15日分以上の平均賃金の支払いが必要です。
もし、解雇予告がなく、解雇予告手当も払わない場合は、労働基準法に違反した不当解雇とみなされる可能性が高いでしょう。
例えば、急に「明日から来なくていい」と言われたり、理由があいまいな退職合意書にサインを迫られたりするケースが典型的。整理解雇の手順を踏まず、一方的に「業績不振だから辞めてくれ」と言われるのも不当解雇の可能性が高いです(※整理解雇をするには、人員削減の必要性や解雇回避の努力などの要件を満たす必要があるため)。
納得できない解雇を告げられたら、あわてずに理由を書面で求めましょう。労働基準法では解雇理由証明書を請求する権利が認められており、会社は発行を拒めません。
解雇に納得できないときは、一人で悩まずに相談することが大切です。心強い相談先を3つ紹介いたします。
労働基準監督署では、解雇や残業代未払いなど、労働基準法違反の疑いがある相談を無料で受け付けしています。必要に応じて会社への是正勧告を行ってくれることも。
ただし、労働基準監督署の主な仕事は法律違反の取締りなので、違法行為が明確でない場合には積極的には動いてもらえない可能性があります。
労働基準監督署が動いてくれないときに相談したいのが労働組合です。会社に労働組合がなくても、地域の合同労働組合(ユニオン)に個人加盟してサポートを受けることができます。
労働組合は会社と交渉したり、場合によっては争議(ストライキや抗議行動)で対抗してくれる心強い味方です。
不当解雇の無料相談サービスを実施している弁護士事務所も存在します。法律のプロである弁護士なら解雇理由が正当か、退職合意書の内容が妥当かどうか、法的に判断してくれるでしょう。
また、会社に対して「解雇の撤回」を要求したい場合や、不当解雇による損害賠償を請求したい場合は、法的手続きを見据えて弁護士に相談するのが望ましいです。
日々の努力で解雇を回避できる可能性もあります。その一つがタクシー業界で求められるデジタルスキルを身につけることです。
多摩エリアでは、配車アプリ(例えば「GO」や「S.RIDE」など)が広く普及しており、スマホで乗客からの呼び出しを受けるのが当たり前になっています。
また、キャッシュレス決済端末の操作も必須スキルです。会社によっては操作研修やマニュアルが用意されている場合もあるので、遠慮せず上司や先輩に相談してみてください。社内で「新しいことを学ぶ意欲」を見せると、周囲も協力してくれるものです。
もしも解雇されてしまった場合は、失業手当(失業保険)の手続きを行いましょう。
会社都合による退職の場合、ハローワークで手続きをすれば7日間の待期期間後、すぐに失業給付金の支給が始まります(自己都合退職と異なり、追加の給付制限期間がありません)。
離職票を受け取ったらお住まいの地域のハローワークに行き、忘れずに申請してください。
今の職場で頑張り続ける道と、新しい環境に飛び込む道、どちらがご自身にとって幸せかは状況によって変わります。ただ、「解雇されるかも」と不安なまま我慢して働き続けるより、一度立ち止まってキャリアを見直すことも大切です。
幸い、タクシードライバーは他業種に比べて中高年の採用枠が多く、業界経験があるドライバーは即戦力として歓迎される傾向があります。多摩エリアでは年齢を問わずにドライバーを積極採用しているタクシー会社もありますので、「もう歳だから…」と諦めず前向きに情報収集してみてください。