本記事では、タクシーを運転するために必要となる運転者証の提示義務について、また運転者証の注意点などについて解説します。
運転者証とは運転者本人が運転しているか確認するための身元証明書のようなもので、証明証と違う人物が運転しているなら犯罪の可能性があるといった「犯罪防止」の役割を担ってきました。
所属会社のエリアのあるタクシーセンターから交付されるもので、多くの場合助手席側のダッシュボードに設置されています。
運転者証は1956年に定められた省令です。タクシーを運転する際には、運転者証によって運転者の名前や車両ナンバーを乗客がすぐに把握できるように提示しておくことが義務付けられていました。そのため、ダッシュボードなど目立つ場所に提示されていましたが、国土交通省の規則変更により、2023年8月1日から運転者証の提示義務が廃止されました。
それまでも、タクシードライバーの個人情報が運転者証によって漏洩してしまう心配がありました。近年のSNSの普及により、個人情報の特定が容易になる可能性が高まっていました。スマホで運転者証を無断撮影された事例が寄せられているほか、撮影した運転者証をSNSに無断掲載するという事例も発生しています。
さらに、乗務員に対するクレームで返金を求めた乗客が「返金しなければ撮影した運転者証をインターネットで拡散する」と脅すケースや、運転者証自体を奪い取ろうとする乗客も出てかなりの問題となりました。
そのため、個人情報を提示した上で乗務することに抵抗があるという乗務員が増えたのを踏まえて、運転者証の取り扱いや情報の記載場所が変更されたのです。
情報の記載場所については、これまで表面に乗務員の氏名と顔写真が掲載されていましたが、裏面への掲載に変更されました。これにより、乗客にひと目で個人情報を把握されることがなくなります。しかし、氏名の記載がないと、忘れ物をした時などに誰のタクシーに乗っていたかを識別することが難しくなります。そこで、規則改定後は1人ひとりの乗務員に割り振られた番号を表面に記載することにしました。
運転者証には有効期限があり、通常は2年間とされています。期限内に更新をすれば継続してタクシーを運転できますが、期限が切れた場合は取得し直さなければなりません。例えば、タクシー会社に就職して運転者証を取得し、1年で退職したとします。その後2年後に再度タクシー会社に就職する場合、1年前に有効期限が切れていることになります。そのため、あらためて運転者証を取得するための試験を受けて取り直す必要があります。
二種免許は自分で更新をすることができますが、運転者証は更新時にタクシー会社に在籍していないと更新できません。離職している間に有効期限が切れた場合は取り直さないといけないので、その点も考慮して転職を検討しましょう。