万が一、タクシードライバーが業務中に違反や事故を起こして免許停止(免停)になると、一定期間は運転業務に就くことができなくなります。これは働いている会社や取引先に多大な迷惑をかけるだけでなく、車の運転が制限されることで私生活へも深刻な影響を及ぼします。
日本の運転免許には点数制度が採用されており、0点からスタートして違反や事故の内容に応じて点数が加算される加点方式となっています。過去3年間に免許停止などの行政処分を受けた「前歴」がない場合、累積6点に達した時点で免停処分となります。ただし、過去3年以内の前歴の回数が増えるほど、免停に至る基準の点数は低くなり、処分内容も厳しくなる仕組みのため注意が必要です。
引用元:警視庁|点数計算の原則(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/torishimari/gyosei/seido/gyosei16.html)
軽微な違反の積み重ねだけでなく、たった1回の悪質・危険な行為によって一発で免停となる重大な違反行為も存在します。たとえば、酒気帯び運転(呼気0.25mg未満)は13点、50km/h以上の速度超過や仮免許運転違反は12点、速度超過30km/h(高速道路では40km/h)以上50km/h未満、無車検運行、無保険運行などは6点が科されます。これらは1回で免停基準の6点以上に達するため、即座に処分が下されます。
参照元:警視庁|交通違反の点数一覧表 (https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/torishimari/gyosei/seido/tensu.html)
免停処分を受けると物理的に車の運転ができなくなるため、タクシー会社からは一定期間の乗務停止処分が科されることになります。運転業務の継続が困難となることから、運転を必要としない内勤部署への異動措置が取られるケースも少なくありません。このように自分の希望する業務に就けなくなるだけでなく、乗務手当などが支給されなくなるため、結果として収入が大幅に減少するリスクが発生します。
会社による独自の懲戒処分とは別に、行政処分として免停が決まると、ドライバーはタクシーを運転するための乗務資格そのものを失います。多くのタクシー会社では「有効な運転免許を保持していること」を絶対的な勤務条件として就業規則等に定めています。そのため、行政処分によって免停になった事実や、その原因となった飲酒運転などの重大な法律違反・重大事故を理由として、会社から解雇や退職勧告といった非常に重い処分を直接下されるケースが多く存在します。行政処分の結果は、会社における雇用の継続に直結する仕組みとなっているため、極めて高いリスクが生じます。
万が一免停処分を受けてしまった場合、指定された講習を受講することで、免停期間を短縮できる制度が用意されています。軽微な違反による累積など一定の条件を満たせば「違反者講習」の対象となり、受講することで免停などの行政処分が免除され、前歴も付かないといった恩恵を受けられます。条件に合わない場合は「停止処分者講習」を受講することになり、講習内で行われる適性検査や筆記テストなどの考査成績に応じて、免停日数を大幅に減免することが可能です。
参照元:警視庁|違反者講習(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/koshu/koshu/koshu05.html)
講習を活用して免停期間を短縮できたとしても、それで問題がすべて解決するわけではありません。業務中に運転ができなくなり、会社にフォロー体制を構築させたり、同僚や上司に多大な迷惑をかけたりした事実は残ります。このため、職場内における信用や評価が著しく低下することは避けられず、将来の人事評価や社内での立場に悪影響を及ぼすリスクに注意する必要があります。
免停を未然に防ぐためには、タクシー会社が定期的に実施している安全運転研修や会社教育を積極的に活用することが重要です。研修を日常的にしっかりと受講し、基本動作の再確認や交差点などでの安全確認を徹底することにより、独りよがりな運転を防ぎます。日頃から事故や違反を防止するための高い安全意識を維持し続けることが大切です。
事故や違反による免停を防ぐ最終的な鍵は、ドライバー自身の安全に対する心構えと日々の習慣にあります。特に事故が起きやすいとされる深夜帯や悪天候時、あるいは寒い時期の路面凍結といった危険な環境を正しく理解しなければなりません。疲労が溜まらないよう日頃の体調管理を徹底し、確実な休憩を取るとともに、常に周囲の危険を予測して運転する「危険予知運転」を習慣化することが、自身のキャリアと生活を守るために不可欠です。
タクシードライバーにとって、運転免許の停止は職を失いかねない極めて重大なキャリアのリスクです。累積による免停や一発免停には必ず原因があり、日頃の運転姿勢が結果として現れます。プロのドライバーとして常に高い安全運転意識を持ち、徹底して事故や違反を防ぐ姿勢こそが、お客様や社会からの信用を守り、自身の安定した生活を維持するために不可欠な心得です。